第二十ニ話       「―追憶其之弐―クロウの役回り」
女の子「クロウさんはお供の戦士がいいと」
オイ…それは準主役級の役じゃないか。しかもほぼ全会一致で賛成……。
クロウ「断る。余所者が直接物語にかかわって良い物では無いだろう。」
じゃあ何をするの?と言われた。
クロウ「剣術をより高いレベルで奉納する為、剣術の指南をする。」







―1時間後―
結局俺は修行者の役(台詞なし)に収まった。話し合いも終わった。
これから練習に入る。
セリア「何であの役を降りたのですか?」
疑問に思うような声で問いかけてきた。
クロウ「そもそも俺は名誉やら目立つ事やらには興味がないんだ。それに、だ。」
セリア「それに?」
クロウ「皆が主役級の役をやりたがったら脇役や敵役をやる人がいなくなってしまうだろ。俺は主役は好きじゃないからやればどこかに蟠りが出来て自分では最高の演技をしたと思っても、それは最高足りえなくなってしまうから降りたんだ。ただそれだけだ。」
セリア「成程……。」




――練習場――
クロウ「踏み込みが甘い!!不格好に見えるぞ!」
主役の人「ひぃぃ〜〜〜。」
こんな事言いながらでも根性があった。だからこそ教える。
鞘に納めたままの刀と剣で打ち合っていた。(止金を付けて刀の鞘が飛ばないようにしている)
暫く打ち合っていると明らかに良くなってきた。
夕方まで剣を使う人の世話をしていた。
久しぶりにセリアの家族に借りた部屋に戻った。刀を置き暫く座禅を組んでみた。
心を落ち着ける。日が暮れた。




…………笛?
紛れもなく笛の音だ。誰が笛を吹いているのか。相当上手い。
外に出てみた。セリアが笛を吹いている。
セリア「……クロウさん?」
セリアが気付いて笛を吹くのを止め、こちらを向いた。
セリア「うるさかったですか?」
心配するような声で問いかけてきた。
クロウ「いや、その逆だ。綺麗な笛の音だな、と思ってな。誰が吹いているのかと思ったんだ。」




セリア「……クロウさんも笛を吹くことってあるんですね。」
クロウ「たまにだけどな。だが笛を吹く時間ってのは師匠のもとを出てから戦いに生きていた俺にとって戦いから離れる貴重な時間なんだ。」
セリアは驚いていた。この齢で戦いに出ていることが驚きらしい。
セリア「………つかぬことを聞きますけどクロウさんの誕生日っていつですか。」
クロウ「十二月九日だけどそれがどうかしたか?」
セリア「いえ何でもないです。」
クロウ「戻るか?そろそろ。」
セリア「そうですね。」



作者後書き
フェインの過去話に二話、クロウの過去話には一体何話使うことになるのだろうか。
しかしこの一話随分短く取ってしまったな、と今更思う。ただここで切らないとだらだらと一話一話が長くなってしまう。
構成のバランスから考えてそれは避けなければならない。短く切ってしまった方が帳尻合わせが効きやすいのもあるんだけど。

シュンの一言:笛と言えば凄く前に笛の試験があって結果は全員笑って失格になりましたOTZ(シュンは真面目にやっていたのですが、相方が・・・(泣)