第十七話   「戦闘、再び」
敵の鬨の声。
物凄い数。五万もの軍勢。だが不思議と恐怖はなかった。
キーン!!
刃と刃が接する。
矢が飛ぶ。悲鳴があちこちで上がる。これが戦という物か。酷い物だ。だがただそれだけ。
そんな事はほとんど気にならない。血が頬にかかる。最初に見た人の死は四年前。妹だ。あっさり死んだ。
いや………殺されたに近いかもしれない。
妹の死は心に深く深く響いた。今殺した張本人に与する人間と戦っている。
そう考えるとそれ程大きな事でもないような気がする。
となると俺は悲しみや怒りで剣を振るっているということになる。だがそんな事はどうでも良い。
妹を殺した人間を殺せればそれで良い。そう思った。





血の海。また一人また一人と人が倒れていく。
フェインはまた一人、人を斬る。
シルフィア「フェイン?どうしたの……?」
フェイン「うおおおお!!」
斬る。斬られた敵が斃れる。敵が怖れ慄き引き始める。敵将のもとに疾駆する。
馬に乗っている。人殺しの仲間のくせに威張りやがって。
跳ぶ。剣を横に払う。敵将の首が飛ぶ。その顔は恐怖に満ちていた。





一応俺は一般兵卒として戦いに出ている。おそらく敵をもう3桁に近いほど斬り殺している。
一人の兵卒が。阿修羅のごとく荒れ狂い、戦う。その姿に敵は怖れおののく。一般兵卒でここまで強いのか、と
だがそれもどうでも良い話だ。ただの人の群れが逃げ出すだけ。
数人向かってきたがそれも全員斬り殺した。向かってくる人間は人殺しの仲間と見なして斬り殺す。
逃げる者は殺そうとは思わなかった。





修羅場。血の海。逃げ惑う敵兵後ろで叱咤する敵将。自分は命も懸けないくせに。
いい加減腹が立つ。その陰で死んでいく部下がいる。また疾駆。
フェイン「逝ね。」
喉に剣を突き刺した。敵将が倒れる。
驚きと恐怖に満ちた顔。
敵兵は算を乱して我先にと逃げ惑う。当たり前の事だ。たかだか十四の少年に。
将軍が二人も殺されているのだ。指揮系統もバラバラ。
撤収の法螺が鳴る。戦が終わった。

作者後書き
フェインの中の修羅の潜在性。これも分かると思います。何かヤマチュウさんから「フェインがクエルスに似ているぞ」とかいうクレームが飛んで来たけど、多分フェインの方が暗いしシリアス。第一あんな軽い性格していません。

シュンの一言:まさに三国無双で1000人切りですね、分かりますw